インターネットを活用して効率よく集客したいと考えたとき、無料で始められるSEOとMEOはぜひ取り組みたい施策です。
日本では個人のインターネット利用率が約90%に達し、多くの人がスマホでお店やサービスを検索しています。
しかし、名前は聞いたことがあっても両者の違いや優先順位がわからず、どう進めるべきか悩んでいませんか?
そこで本記事では、SEOとMEOの意味や違い、それぞれのメリット・デメリット、さらにどちらを優先すべきかまで徹底解説します。
記事を読み終えれば、自社に適した集客戦略が見えてくるでしょう。
SEOとは?
SEOとは「Search Engine Optimization」の略称で、日本語では「検索エンジン最適化」と訳されます。
GoogleやYahoo!といった検索エンジンで特定のキーワードが検索された際に、自社のウェブサイトを検索結果の上位に表示させるための一連の施策を指します。
ユーザーが何かを知りたい、解決したいと思った時に使う検索エンジンで、自社のサイトを見つけてもらいやすくすることが目的です。
具体的には、ユーザーの検索意図に沿った質の高いコンテンツを作成したり、サイトの構造を検索エンジンが理解しやすいように整えたりします。
これらの対策を通じて、広告費をかけずに自然検索からの継続的なアクセス増加を目指します。

MEOとは?
MEOとは「Map Engine Optimization」の略称で、日本語では「マップエンジン最適化」と呼ばれます。
主にGoogleマップを対象とした地図エンジン上で、自社の店舗情報やビジネス情報を検索結果の上位に表示させるための施策です。
例えば、ユーザーが「渋谷 カフェ」と検索した際に、Googleマップの検索結果で自店舗が目立つ位置に表示されるように対策します。
MEOは特に、飲食店や美容院、クリニックといった実店舗を持つビジネスにとって重要な集客手段です。
スマートフォンの普及に伴い、外出先で近くの店を探す行動は一般的になっています。
実際に、総務省の「令和4年通信利用動向調査」によると、個人のスマートフォン保有率は77.3%に達しており、現在地情報を活用した検索の重要性が増しています。
SEOとMEOの主な違い
SEOとMEOには、対象ユーザーやコンテンツの種類、効果が出るまでのスピードなどいくつかの相違点があります。
ここからは、主な違いを5つのポイントに分けて解説します。
対象ユーザー、検索範囲の違い
SEOとMEOでは、アプローチするユーザー層と情報の届く範囲が大きく異なります。
SEOが対象とするのは、地域を限定せず、広い範囲で情報を探している潜在的なユーザーです。
例えば、「乾燥肌におすすめの化粧水」と検索するユーザーは、日本全国、あるいは世界中のどこからでもアクセスする可能性があります。
一方で、MEOが対象とするのは、「今いる場所」や「これから行く場所」の周辺でサービスを探している、来店意欲の高いユーザーです。
具体的には、「新宿駅近くの皮膚科」のように、特定の地域と目的を持って検索するユーザーに直接アプローチします。
このように、SEOは広範囲の認知獲得に、MEOは商圏内の直接的な集客に強みを持っています。
対策する媒体、コンテンツの違い
対策の対象となる場所も、SEOとMEOの明確な違いです。
SEO対策の主な舞台は、自社で保有・管理するウェブサイトやブログです。
検索キーワードに対してユーザーが求める答えを、記事コンテンツやサービスページといった形で作成し、ウェブサイト全体の評価を高めていく必要があります。
良質なコンテンツを継続的に発信し、サイトの専門性や信頼性を構築することが重要です。
それに対して、MEO対策の主戦場はGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)です。
店舗の基本情報(店名、住所、電話番号)、営業時間、写真、口コミ、最新情報などを充実させ、管理・運用していくことが対策の中心となります。
効果が現れるまでの時間の違い
一般的に、MEOはSEOに比べて、比較的短期間で効果が出やすい傾向にあります。
SEOはウェブサイト全体の信頼性や権威性を時間をかけて高めていく必要があり、対策を始めてから効果を実感するまでには数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。
一方でMEOは、対策範囲がGoogleビジネスプロフィールに限定されており、競合が少ないエリアや業種であれば、対策後数週間から1ヶ月程度でマップの上位に表示されるケースもあります。
すぐにでも集客効果を求める場合には、MEOが有力な選択肢となるでしょう。
競合の数、難易度の違い
対策における競合の範囲と、それに伴う難易度も異なります。
SEOの場合、競合相手は日本全国、あるいは世界中の同じキーワードで上位表示を狙う全てのウェブサイトになります。
特に、検索ボリュームの大きい人気のキーワードでは、大手企業や有名メディアサイトが競合となるため、上位表示の難易度は非常に高くなります。
一方、MEOの競合は、基本的に自店舗と同じエリアにある同業他社に限定されます。
例えば、池袋のラーメン店であれば、競合は池袋周辺のラーメン店です。
全国のラーメン店と争う必要がないため、SEOに比べて競合の数が少なく、対策の難易度は比較的低いと言えます。
コスト(費用)の違い
施策にかかるコストも、どちらを選択するかの重要な判断材料になります。
SEO対策は、専門性が高く、多岐にわたるため、外部の専門会社に依頼すると高額になる傾向があります。
コンテンツ作成、内部施策、外部施策などを本格的に行う場合、月額数十万円から数百万円の費用がかかることも珍しくありません。
もちろん、知識があれば内製化してコストを抑えることも可能です。
対してMEOは、Googleビジネスプロフィールの登録・運用が無料から始められるため、比較的低コストで実施できます。
専門業者に依頼した場合でも、月額3万円〜5万円程度が相場となっており、SEOと比較して費用を抑えながら集客効果を狙える点が魅力です。
SEOのメリット/デメリット
SEOには多くのメリットがありますが、同時に押さえておきたいデメリットも存在します。
ここではまずSEOの利点と欠点を順に整理して確認しましょう。
SEOのメリット
SEOには以下のようなメリットがあります。
- 広範囲のユーザーにリーチできる
検索エンジン経由で地域や国を問わず、多くの潜在顧客にアプローチ可能です。オンライン上で幅広い集客が見込めます。 - 継続的な集客が可能
一度検索結果の上位に表示されれば、24時間365日ユーザーが流入するため、長期間にわたり安定した集客効果が期待できます。 - 広告費がかからない
オーガニック検索からのアクセスにはクリックごとの費用が発生しないため、成功すれば広告に頼らずコスト効率よく集客できます。 - 信頼性の向上
検索結果の上位に表示されることで「人気がある」「信頼できる」サイトだと見なされやすく、企業やブランドの信頼性向上にもつながります。

SEOのデメリット
一方、SEOには以下のようなデメリット・注意点もあります。
- 成果が出るまで時間がかかる
検索順位が上がるまでに数ヶ月以上の継続的な対策が必要で、短期的に結果を出すのは容易ではありません。 - 専門知識や労力が必要
SEOには検索アルゴリズムの理解や良質なコンテンツ制作など、多岐にわたる知識と日々の運用が欠かせず、人的リソースの投入が求められます。 - 競合が多く上位表示が難しい
人気のあるキーワードほど競合サイトがひしめいており、小規模サイトが上位を取るのは簡単ではありません。特にローカル検索ではポータルサイトが強力な競合となります。 - アルゴリズム変動のリスク
検索エンジンのアルゴリズム更新によって順位が急落する可能性が常にあります。自分ではコントロールできない要因でトラフィックが減少するリスクを抱えています。
MEOのメリット/デメリット
MEOにもメリットとデメリットの両面があります。
次に、MEOの利点と注意点を見ていきましょう。
MEOのメリット
MEOには以下のようなメリットがあります。
- 来店に直結しやすい集客
地域検索をするユーザーは購買意欲が高く、MEOで上位表示されれば短期間で実店舗への来店につながりやすいです。実際の売上や集客効果を感じやすい点が魅力です。 - 低コストですぐ始められる
Googleビジネスプロフィールを使った対策は無料で始められ、自分で手軽に着手できます。広告費をかけずに集客できるため、小規模店舗でも導入しやすいです。 - 競合が限定的で成果を出しやすい
商圏内の店舗同士の競争となるため、大手企業やポータルサイトと競う必要がありません。強豪ひしめくSEOに比べれば上位表示を狙いやすく、後発の店舗でもチャンスがあります。 - 口コミで信頼を獲得できる
MEOではユーザーの口コミ評価が公開されるため、評価が高まれば新規顧客の信頼獲得につながります。写真や投稿機能を通じて店舗の魅力を発信できる点もメリットです。
MEOのデメリット
一方、MEOには以下のようなデメリットや注意点もあります。
- 集客できる範囲が限定される
基本的に店舗周辺のユーザーしかターゲットにできません。遠方の顧客にはリーチしづらく、商圏外への訴求には別途施策が必要です。 - プラットフォーム依存がある
Googleのサービス上で集客するため、Googleの方針変更に影響されます。アルゴリズム変更で順位が変動したり、ガイドライン違反でアカウント停止のリスクも考慮しなければなりません。 - 口コミ管理が欠かせない
公開される口コミへの対応が必要です。低評価の口コミが付くと集客にマイナスとなる可能性があるため、迅速かつ適切な返信やサービス改善が求められます。 - 効果測定が難しい場合がある
MEO施策による来店増加や売上への寄与を正確に測定するのは容易ではありません。他のマーケティング施策と組み合わさることも多く、オンラインの指標とオフラインの成果を結び付けて考える工夫が必要です。
SEOとMEOはどちらを優先すべきか?
SEOとMEO、どちらの施策を優先すべきかは、あなたのビジネスモデルによって異なります。
もし、あなたが飲食店、美容院、整体院、クリニックといった実店舗を構えてビジネスを行っているのなら、まずはMEOを優先すべきです。
なぜなら、MEOは来店意欲の高い近隣のユーザーに直接アプローチでき、比較的短期間かつ低コストで集客効果を見込めるからです。
まずはGoogleビジネスプロフィールを整備して、足元の顧客を確実に取り込む体制を整えましょう。
その上で、より広域からの集客やブランディングを目指すために、SEO対策としてブログでの情報発信などを並行して進めるのが理想的な形です。
一方で、ECサイト、Webサービス、全国対応のオンラインコンサルティングなど、店舗を持たず、商圏が全国に及ぶビジネスの場合は、SEOを最優先で取り組むべきです。
地域を限定する必要がなく、より多くの潜在顧客にアプローチできるSEOは、オンライン完結型ビジネスの集客の要となります。
質の高いコンテンツを蓄積し、長期的な視点でウェブサイトからの流入を最大化することを目指しましょう。
MEO対策を始めるには
MEO対策をこれから始める場合、以下の手順で進めるのが一般的です。
- Googleビジネスプロフィールに登録・確認
まずGoogleビジネスプロフィールに自社の店舗情報を登録し、オーナー確認(認証)を行います。これでGoogle上で店舗管理を開始できます。 - 基本情報の入力
店名、住所、電話番号、営業時間などの基本情報を正確に入力しましょう。特に住所や電話番号(NAP情報)は他サイトでの表記も含め統一することが大切です。 - カテゴリ設定
ビジネスに合った適切なカテゴリを選択します。ユーザーが検索に使いそうな業種・サービスに合致したカテゴリに設定することで、関連検索に表示されやすくなります。 - 店舗情報の充実
写真や紹介文を充実させ、店舗の雰囲気や提供サービスが伝わるようにします。メニューや商品がある場合は写真付きで掲載し、ユーザーが魅力を感じる情報を盛り込みましょう。 - 口コミ対応
ユーザーからの口コミには丁寧に返信し、良い評価を増やせるよう努めます。高評価の口コミが蓄積されれば検索順位にも良い影響が出やすく、閲覧したユーザーの来店意欲向上にもつながります。 - 情報の更新維持
営業時間の変更や新商品の投入など、情報に変化があれば速やかにプロフィールを更新します。常に正確で最新の情報を保つことでユーザーの信頼を得られ、Googleからの評価も安定します。
以上のステップを実施することで、MEO対策の基礎を固めることができます。
特に難しい専門知識がなくても、店舗オーナー自身で始められるので、まずはできる範囲から取り組んでみましょう。
SEOとMEOに関してよくある質問
最後に、SEOとMEOに関して初心者が抱きがちな疑問についてQ&A形式で回答します。
気になるポイントがあればここで解消しておきましょう。
MEOの費用相場は?外注と内製の違いは?
MEOの費用相場は月額約3万~5万円程度です。
自社で運用する場合、基本的に費用はかからず担当者の労力だけで始められます。
一方、専門業者に外注すると毎月数万円のコストが発生しますが、SEO対策会社に比べれば比較的低額でノウハウを活用できる利点があります。
まずは自社で始め、必要に応じて外注を検討すると良いでしょう。
ローカルSEOとMEOは同じ?何が違う?
ローカルSEOとMEOは、ほぼ同じ意味で使われることが多いですが、厳密には定義が異なります。
ローカルSEOは、「地域名+キーワード」の検索結果全体(地図情報、通常のWebサイトなど)を最適化する、より広範な概念です。
MEOは、そのローカルSEOの中でも特にGoogleマップの検索結果(ローカルパック)に特化した施策を指します。
MEOはローカルSEOの一部と捉えると分かりやすいでしょう。
MEOの効果測定は何を見る?
MEOの効果測定では、Googleビジネスプロフィールのインサイト指標を確認します。
具体的には、店舗情報が検索結果やGoogleマップで何回表示されたか(インプレッション数)、そこから何回電話発信されたか、経路リクエストが何回あったか、ウェブサイトクリックが何回行われたかといった数値が代表的な指標です。
これらはGoogleビジネスプロフィールの管理画面から確認できます。
それらの数値が以前より増えていれば、MEO対策が功を奏してユーザーの関心・行動を引き出していると判断できます。
また、可能であれば実店舗の来客数の推移や売上への影響も合わせてチェックし、オンライン指標とオフライン成果の両面から効果を測定するとより確実です。
単店舗/多拠点で進め方は変わる?
単店舗と多拠点でMEO対策の基本的な進め方に大きな違いはありません。
いずれの場合も各店舗ごとに正しい情報を掲載し、写真の追加や口コミ対応など基本をしっかり行うことが重要です。
ただし、複数拠点がある企業の場合は情報管理と運用体制に工夫が必要になります。
例えば、本社で一括して全店舗のGoogleビジネスプロフィールを管理する方法があります。
統一したブランド方針のもとで各店舗ページの情報を更新し、品質を均一に保つことができます。
または、店舗ごとに責任者を決めて口コミ返信などを任せる方法もあります。
その際は定期的に本社で内容をチェックし、全店舗で情報の整合性が取れているか確認すると安心です。
要は、単店舗であれ多店舗であれユーザー視点で見やすく信頼できる情報を提供することが第一ですので、拠点数に応じて管理の仕組みを整えましょう。
SEOとMEOの違いまとめ
SEOとMEOは共にデジタル時代の集客に欠かせない施策ですが、その適用範囲や強みは異なります。
SEOはWebサイトを通じて全国・全世界のユーザーにリーチでき、情報発信やブランディングにも役立つ長期的な集客手段です。
対してMEOは特定エリアのユーザーにフォーカスし、実店舗への誘導に直結する即効性の高い施策と言えます。
それぞれメリット・デメリットがあるため、自社の業種や顧客層に合わせて優先度を決めることが重要です。
例えば地域密着型の店舗ならMEOをまず重視し、広域展開やオンライン中心ならSEOに注力するといった判断になります。
最終的にはSEOとMEOをバランスよく活用し、オンラインとオフライン双方から集客するのが理想です。
自社に合った戦略でSEOとMEOの両輪を回し、より多くの顧客との出会いを創出していきましょう。
